注
※公式サイト「施線幻視行」第五回の絵本ネタを元にしておりますが、公式、本編とはなんの関わりもない駄文です。また、公式サイトとこのサイトを同時にひらいたりはしないでください。
※子カミナ(11歳前後)子シモン(8歳前後)の設定で。(大きいカミナと大きいシモンで読むとそれはそれで笑えます←自分で言うな)
※絵本どころか、長めな上に、ひらがなの多い読みにくい仕様の文になっております。すみません。
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「なんか、おもしろいことねーかなあ」
カミナくんは、じめんの下にすんでいる男の子。お空のような青いかみとお日さまみたいな赤い目をした元気な子です。曲がったことが大きらいで、せいぎかんもつよいけれど、こまったことにいたずらが大の大すき。
きょうもカミナくんは、おもしろいいたずらをかんがえながら、村をあるきまわっていました。カミナくんがすんでいるのは、お日さまのないじめんの下(ちか、といいます)のジーハ村。みんなで穴をほってくらしています。
「カミナー!」
とおくから声がしました。カミナくんよりひとまわり小さい男の子が、水場のむこうから走ってきます。
「シモンじゃねえか。どうした?」
走ってきたのはシモンくんでした。目が大きくて、夜の色のかみのけの男の子です。赤いゴーグルがめじるし。カミナくんはいちねんじゅう上ははだかですが、シモンくんは茶色いブタモグラの毛皮のマントをはおっています。マントをはためかせながら、シモンくんはカミナくんのところへ息をきらしてやってきました。
「カミナ、きて」
小さい声でそういうと、いっしょうけんめい背伸びをして、カミナくんの耳に口を近づけます。
『・・・みんなにないしょで、見せたいものがあるんだ!』
シモンくんはカミナくんより3つ年下です。小さいけれど、穴をほるのが村でいちばん上手で、村長さんにもまいにちほめられています。でも恥ずかしがりやで、おはなしがうまくできないので、ときどき村の子たちにいじめられることもあります。そんなときは、いつもカミナくんが来てたすけてくれるのです。シモンくんにとって、カミナくんはとてもかっこよくて、大すきなお兄さんのようでした。
「こっちだよ」
シモンくんは少し大きいカミナくんの手をひっぱって、村のはずれへつれていきます。みんなの穴のおうちがあるところをずっと過ぎて、もっとおく。もう、ほとんど村のいちばんはしまで行きました。大きないわのかべがめのまえにたちふさがっています。
「ここから入るんだよ!」
いわのすきまに子供がようやくとおれるくらいの、トンネルがありました。シモンくんがほったのでしょう。とくいげなかおで、シモンくんはせんとうになって入ります。こんなときのシモンくんのかおは、いつもの、恥ずかしがっているようなようすとちがって、とてもいきいきしています。カミナくんは、そんなシモンくんのかおを見るのがすきでした。
もっと、じしんをもてばいいのに。カミナくんは思います。シモンくんは穴ほりではだれにも負けないのです。おとなのひとだってかないません。そんなシモンくんを、カミナくんはあにき分として、ほこりに思っているのです。口にはださないけれど、自分にはできない穴ほりをじょうずにできるシモンくんを、すごいやつだとみとめています。だから、いじめられたりしているのを見ると、いらいらしてしまうのです。おまえらなんかより、こいつのほうがずっとすげーんだぞ!とさけびたくなります。
「カミナ、ここだよ!見て!」
さきに行ったシモンくんが、カミナくんを呼びます。こえにしたがってカミナくんが進んでいくと、とつぜん、めのまえがぽっかりとひらけました。
「なんだぁ?こりゃあ・・・」
トンネルをぬけた先は、どうくつのように広がっていました。広さは穴のおうち3つぶんくらいでしょうか。でもてんじょうはもっと高くにあります。そのうえすてきなことに、小さいけれど池があるのです。池の中には光るこけがはえているらしく、池ぜんたいがぼんやりとあかるくなっています。どうやらここは、しぜんに土の中にできた空き地のようです。
「すげーな、シモン!よくこんなところみつけたな!」
「えへへ・・・カミナにいちばんに見せたかったんだ」
ほんとうは、こんなに広いばしょを土の中に見つけたなら、すぐ村長さんに知らせなければならないのが決まりです。村長さんはいつも村をひろくしようひろくしようと考えているから、そういう決まりを作ったのです。水場まであるなら、なおさらです。
でももちろん、カミナくんはそんなことは言いません。
「よーし!これからここをおれたちのきちにするぞ!
「おれたちの?」
「そうだ!おまえとおれ!ふたりだけのひみつきちだー!!」
カミナくんはうちょうてんです。
「お、おれ、ぜったいだれにも言わないよ!」
シモンくんも目をきらきらさせてこたえます。うれしくてうれしくて、むねがどきどきしました。シモンくんは、だれかとひみつを持ったことなんかなかったからです。カミナくんは、いたずらをするときの仲間がほかにいて、ときどきその仲間たちだけがしっているひみつのばしょに集まったりすることがあります。でもシモンくんはそこに入れてもらったことがありません。だから、その子たちを、いつもちょっぴりうらやましく思っていました。
ところがこのばしょは、カミナくんと自分の、ふたりだけのひみつだと言うのです!ひみつを持つだけでもうれしいのに、それが大すきなカミナくんとのひみつだと思うと、うれしいを通りこして、少しくるしいくらいでした。
「あとね、これも見て!おもしろいもの作ったんだ!」
シモンくんが指さしたむこうは、小さな池です。よく見るとその上に、太いロープのようなものが長くたれさがっていて、Uの字のようになっています。池のま上に長くはりだした岩の足場があって、そこにロープがぐるりとまわされているようです。
「これのどこがおもしれえんだ?ただのロープじゃねえか」
「と思うでしょ?でもね・・・」
シモンくんはするすると岩の足場にのぼり、そこからロープを伝って、Uの字のいちばん下のところまでおりました。そして、たれさがっているロープに、いすのようにすわって、両手はロープをしっかりつかみます。
「こうするんだ、それっ!」
シモンくんは足をまげて、それから思いっきりけり出します。するとロープにはんどうがついて、ゆらゆらとゆれます。それを何度もくりかえすと、ぶらーんぶらーんとゆれて、池の上をいったりきたり。つよくこげばこぐほど、ロープははやく、たかくあがっては落ちるのをくりかえします。まるで池の上を飛んでいるようです。
気持ちよさそうに風をうけるシモンくんのかお。見ているカミナくんも、乗ってみたくてうずうずしてきました。
「シモーン!おれにもやらせろよ!」
思わず大きなこえでさいそくしてしまいます。カミナくんがきょうみを持ってくれたので、シモンくんもうれしそうに交代しました。
「いいねー!すごくイイ!」
カミナくん、こうふんのあまり、しゃべり方が少しおかしくなったようです。
ぶらーんぶらーん、いったりきたり。
ぶらーんぶらーん、いったりきたり。
ぶらーんぶらーん、いったりきたり。
ぶらーんぶらーん・・・・・・・・・・・・・・
カミナくん、かれこれ30分ほどロープをいったりきたりさせています。
はじめはニコニコして見ていたシモンくんも、だんだんたいくつになってきました。じめんにしゃがみこんでカミナくんを見上げます。
「カミナー・・・」
「たのしいなあ!おい!」
「カミナー!そろそろかわってよー!おれもまた乗りたいよ!」
「あぁ?もうすこし乗ったらなー!」
そう言いながら、いっこうにやめるけはいがありません。どうにもたのしくてしょうがなかったのです。村にはこんな乗りものはありませんでしたから。水のうえのくうきはひんやりとしていて、からだが風をきるたびに、とてもいい気もちです。
そんなカミナくんを見ていて、なんだかシモンくんは、さびしくなってきました。カミナくんが喜んでくれているのを見るのはとてもうれしかったのです。でも、カミナくんはさっき、このばしょを「ふたりのひみつきち」と言いました。ふたりのきちのはずなのに、カミナくんひとりで楽しくあそんでばかりで、シモンくんはほったらかしです。
「ねえ、カミナ!おれも乗せてよ!」
ちょっぴりおこったこえで、シモンくんはさけびます。カミナくんはおどろいたようでしたが、すぐに口をとがらせました。
「なんだよ!ここはおれたちのきちだろ?!だったらおれがすきなことしてたっていいじゃねえか!」
カミナくんの言葉は、シモンくんの心にぐさりとささりました。
せっかく、ふたりで楽しくあそべると思っていたのに。さいしょにこのばしょを見つけたときの、おどろきやうれしさや、わくわくした気もちが、どんどんどこかへとんでいってしまいます。なんだか、このばしょも、もうどうでもいいような気さえしてきました。
「・・・・・・もういいよ。おれ、もう帰る」
カミナのバカ。
聞こえないようにひとことこぼして、シモンくんは、走って穴を出ていってしまいました。
「なんだよ、あいつ」
ぶらーんぶらーん、まだゆられながら、カミナくんはそれを見おくります。
ぶらーんぶらーん、ロープはそのあともしばらくゆれつづけていました。
む、むだにつづきます。
長くなりすぎて、投稿をうけつけてくれませんでした(汗)
期間限定グレンラガンのカミシモ(シモン総受が信条)テキスト垂れ流しブログです。
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