※またまた子カミナ子シモンです。(カミナ10~11歳、シモン7~8歳、くらい)
※またまた読みにくいひらがな仕様です。もうタイトルもオリジナルですが・・・
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「どけどけー!おれはグレン団のおにたいちょう!カミナさまだー!」
ここは地下のふかくにある村、ジーハ村。今日も元気な声がひびいています。
カミナくんは青いかみのけ、赤い目をした男の子です。いたずらが大の大すきで、いつも村長さんにおこられてばかり。
今日カミナくんがかんがえたいたずらは、ブタモグラレースです。
「やろうども、いくぞー!」
こぶんたちを連れてブタモグラ農場のさくをこわしてしまいましたから、さあたいへん!
大きなブタモグラたちが、村いっぱいにあふれだしてしまいました。村中はおおさわぎです。
やっとのことでみんながブタモグラをつかまえ終わると、あらあらどうしたのかな?カミナくんのこぶんたちは、村のおとなにおこられるのがこわくて、みんなどこかへ隠れてしまいました。
カミナくんだけは、おこられるときはいさぎよくおこられます。
「男ならどんなときも逃げねぇ!」
それがカミナくんの男意地だからです。
村長さんや村のみんなにひとりでたくさん怒られたカミナくん。今日はいちにちごはん抜きです。足もとの石をけっとばしながら、とぼとぼ穴のおうちへ帰ります。
「もう、あいつらなんかこぶんでもなんでもねぇ!」
カミナくんはぷんぷんおこっています。
帰ってきたおうちには、だれもいません。カミナくんのお母さんはずうっと前になくなっています。お父さんは冒険家で、なかなか帰ってこないのです。
カミナくんのおなかみたいに空っぽのおうち。少しさびしかったけれど、カミナくんはわざと大きな声で言いました。
「ひとりっきりでせいせいするぜ!」
ごろん、とブタモグラの毛皮のおふとんにころがると、ぐう、とおなかが鳴ります。おなかの音がひびくのは男としてはずかしい、と思うカミナくんはうつぶせになりました。すると、おや?目の先の床に、なにか落ちているのが見えます。
「なんだぁ?」
腹ばいでちかづいて見ると、それはブタモグラの皮をきれいにきれいになめしてできた紙でした。カミナくんは使ったことがありませんでしたが、村長さんや村のおじいさんたちがときどきそういう紙に絵や模様をかいているのを見たことがあります。
紙は中になにかをつつんでいて、ふくらんでいます。つまんでみると、なんだかいいにおい。
いそいで紙をひらけばびっくりです。中にはおいしそうなブタモグラのステーキがあるではないですか!
まるでさっき焼いたばかりのように温かいステーキがひときれ。カミナくんののどがごくん、と鳴りました。
「へへ、なんだかしらねぇが、今日はついてるんだな」
さっそくカミナくん、ぱくぱくもぐもぐ、あっという間に食べてしまいました。
「あーうまかった!」
カミナくんには少し量がたりなかったけれど、ぜいたくは言えません。さっきまでおこっていたのもふきとびました。おなかをさすってまたごろんと転がります。
それにしてもなんでカミナくんのおへやに、ステーキがあったのでしょう。すこしふしぎです。
まだちかくに落ちていた皮の紙をひろって、ながめてみました。すると、食べているときには気づかなかったのですが、なにか模様がかいてあるのがわかりました。
「模様っつうより、こりゃ絵だなあ」
線はうすいですが、なんとか見られます。大きなやじるしと、そのさきに、ひらいたくちがかいてあります。
「・・・・よくはわからねぇが、たべろ、ってことか?」
食べていいということなら、あんしんです。(もうカミナくんのおなかの中に入ってしまいましたから。)
どうせあとはやることもありません。カミナくんはあくびをすると、おふとんに丸まってすぐにねむってしまいました。
ところが。
つぎの日も、ふしぎなことがつづきました。
この日もいたずらをしたカミナくん。こんどは、のぼってはいけないと言われている、村のかべをよじのぼっていたのです。
もちろん、すぐに村長さんに見つかりました。いっぱいお説教をされたカミナくんは、またごはんぬき。そのうえ、見つかったときにかべから落ちたせいで、手と足をねんざしてしまったのです。
強いカミナくんは、ねんざくらいでへこたれたりはしませんが、やっぱり痛いものは痛いです。足をひきずりながらひとりでおうちに帰ると、どうでしょう。またおへやの中に、きのうと同じ紙のつつみが落ちていました。
においをかいでみます。きのうと同じステーキのにおい。それに、すこし鼻のおくがすうっとするようなにおいがまざっていました。
あけてみると、中にはステーキと、もうひとつ。石でできた小さな入れものです。ふたをあけると、さっきのスースーするにおいが強くなりました。
こんどは食べるまえに、つつみ紙を良くしらべます。やじるしがくちにむかっている絵(これはきのうとおなじです)、その下に、けがをした足がかいてあって、やっぱりそこにやじるしがかいてありました。
「これをつけろってことか?」
石の入れものの中に入っていたのは、どうやらおくすりのようです。手と足のいたいところにたっぷりぬって、ぬのでぐるぐる巻いてみました。ひんやりとしたくすりのおかげか、ふしぎといたみがひいていきます。
「ぐうぜんにしてもなんだかすげーなあ」
いたみのひいた手足をさすりながら、カミナくんはにこにこ。ステーキも、もちろんぺろりと食べます。気分がすっかり良くなったカミナくんは、まんぞくしてねむってしまいました。
それからは、毎日です。
カミナくんがおうちに帰ってくると、かならず床の上に、紙づつみがおいてあります。
紙づつみに入っているのは、かならずブタモグラのステーキか干しにく。
それと、ときにはべつの物がいっしょに入っていることもあります。
いたずらでけがをして帰ってきた日はおくすりが入っています。そうでないときは、おもしろいものが入っていたりします。たとえば見たことのないきれいな石。なにに使うかわからないけれど、ぴかぴかした小さなきんぞく(カミナくんには良くわかりませんが、なにかを動かすのにつかうきかいかもしれません)。
カミナくんはだんだんおうちに帰るのがたのしみになっていました。
まっ赤に光る石が入っていたときは、お父さんのつよくてやさしい目を思い出しました。
白くやわらかくみがかれたどうぶつの骨が入っていたときは、お母さんのきれいな手を思い出しました。
きょうはいったいなにがとどいてるんだろう。いたずらもそこそこに、おうちにとんで帰ることが多くなりました。村長さんや村のみんなはそんなカミナくんを見て、びょうきにでもなったのかと思っています。
そんなことが1か月くらいつづいたある日のことです。
いつものように、わくわくしながらカミナくんはおうちに帰ってきました。
ところが。
いつもは目につくところに必ずおいてあるつつみが、みあたりません。
どこかにころがっていったのかな?へや中をばたばたひっくりかえしてさがしたけれど、みつかりません。
もしかして、だれかにとられたのかな?いたずら好きでちょっとあばれんぼうなカミナくんのおうちのまわりには、あんまり人はいません。だれかがかってに入ったとしても、気づかれないでしょう。ただ、カミナくんのおうちには、だれかが欲しがるようなすてきなものはおいていないはずなので、それもあまりなさそうです。
「どうなってんだ?」
カミナくんはあたまをぐしゃぐしゃかきまわします。さっきまで期待でふくらんでいた胸が、穴のあいた風船のようにしぼんでしまいました。楽しいきもちがそこからどんどんぬけてしまっているみたいです。
カミナくんは、いつも紙のつつみがおいてあるあたりにしゃがみこみました。いつもだったら、いまごろ、とどいたつつみを開けて、歓声をあげているはずなのです。
しゃがんで見上げると、いつもより天井がたかく見えて、ふしぎなつつみがとどくまえよりずっと、おうちがさみしい気がしました。ひとりでいるこのへやが、広くてそっけない気がしました。
どうしたら、このさびしい、いやなきもちをどこかへやれるんだろう。
カミナくんはかんがえました。長いことかんがえました。うーんとうなりながらかんがえました。
ふとカミナくんは思いつきました。
そもそも、なんであのつつみはおれの所に毎日あったんだろう?
さいしょの1回や2回は、なにかのぐうぜんかもしれません。でも毎日となったら、それはだれかが持ってきていたとしかかんがえられないでしょう。
「けど、んなばかなこと、だれがやってたんだ?」
おもわず声がでます。
カミナくんはこれまで、ずっとひとりでした。ずうっとひとりで、この村の、このおうちに住んで、いたずらをして、ごはんをたべて、ひとりで生きていました。こぶんはいたけれど、おともだちはいませんでした。村長さんは、もっと小さくてなにもできなかったときには少し世話をしてくれましたが、いまはもうおこって追いかけてくるだけです。カミナくんを世話したのは、村を大きくする穴ほりの役目をしてもらうためだ、といつも言っていました。それをちゃんとしないカミナくんは、世話をするかちがないのだと言います。
だから、カミナくんは、何のりゆうもなく、だれかが自分のために何かをしてくれるだなんて、おもったことがなかったのです。かんがえたこともなかったので、こんなにかんたんな事にきづくことができなかったのです。
だれだかしらねぇが、おれはそいつに礼のひとつも言ってねぇ。
つつみを毎日とどけてくれたやつをさがそう。そう思いました。うけた恩をかえさなくては、男のこけんにかかわります。
それに------やっぱり、だれがいつもこんなことをしてくれていたのか、知りたくてたまらなくなったのです。
外では村長さんが大ごえで、「あかりを消せ!夜のじかんだぞ!」とみんなに伝えています。
消灯のじかんを過ぎたら、おうちから出てはいけない村のきまりです。
とりあえず、きょうは寝よう。あしたすぐに、そいつをさがしに行こう。
少しきもちはたかぶっていましたが、あしたにそなえて早めにおふとんに入ります。おへやの外がまっくらになるにつれ、しぜんと目もとじて、いつしかカミナくんはねむってしまいました。
期間限定グレンラガンのカミシモ(シモン総受が信条)テキスト垂れ流しブログです。
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