注)元拍手お礼文です。
学園パロディです。
『デコちゅー事件』
ちゅう、と音がするくらいに。
シモンさんの唇がぼくの額に押しつけられた。
ある日部活動の教室で。机を挟んで仲良く作業中。
落ちた消しゴムを拾おうとしてくれたシモンさんと。それに気づかず一瞬早く消しゴムを拾った僕。
さっと体を起こしたところに、シモンさんが身をかがめていた。故に起きた、突発事故。
「わ!ごめん!ロシウ」
「・・・いえ、僕より、シモンさんの方が痛かったと思います」
僕の額の方が明らかに固いですから。
そんなことを言って、平静を保ちながら。
頭の中をリピートするのは、柔らかかった、その感触で。
目の前で謝罪を続けるその唇が、触れたと思うと額が熱い。
何だかまずいまずいまずい。でも今日はもしかしたら顔が洗えないかも知れない。
洗いたくない。ああでもそんな不潔なことはできないけれど。
「ロシウ?」
「いいいいえ何でもないです何も考えてないですサランラップ貼れば良いかなとか考えてないです!!」
「??何言ってるの?顔赤いよ」
「いえ、ほんとに、何でもないですから・・・」
それならいいけど。そう言って、資料を取りに教室を出る背中。
一気に力が抜けて、机にへばりついてしまった。そして、指で確かめたくなる額の一箇所。
「おい、デコ助、今何考えてる?」
「ええ、生え際は気にしてましたけど、今日ほど前髪を上げていた事を嬉しく思った日はありません・・・
ってカミナさん!!!!」
「よう!」
手を挙げて、教室のドアから陽気に声をかけてきた・・・けれど、赤い目が微妙に笑っていない気がするのは気のせいだろうか?
まあいい、今日はデコ助とかデコ野郎とか呼ばれても痛くも痒くもない。
僕はこのデコに感謝しているくらいだ!
「カミナさん、どうして中等部にいるんですか」
「んー?シモン迎えにきたんだよ」
「寮はすぐそこでしょう!迎えも何もありますか!」
「まあまあ固てぇこと言うなって。それより、ちょっとこっち来てみろ、デコ助」
「何ですか?」
手招きされれば、とりあえず行くだろう。
近づいていくと、長身のカミナさんは、僕をじいっと見下ろしてくる。
「あの・・何かゴミでもついていましたか?」
ちゅううううううううううううううううっ
硬、直。
ぽん、っとおよそあり得ない音でカミナさんの口が僕の額から離れる。
その場所は、その場所は、寸分狂いもなく、さっきシモンさんの唇が触れたところ--------!!
「なななな何するんですかーーーーーーー!!」
「これで良し!」
「何が良いんですか!」
「デコ助には百年早ぇぇ!俺がいただいておく!」
「何言ってるのか全然わかりません!」
「あれえ、アニキ、来てたの?」
ああ、シモンさん。僕の額は汚されてしまいました。
そんな心の声が届くはずもなく。
「おう、シモン!今日はもう終わったか?」
「うん、これで終わりだよ。アニキはどうしたの?」
「暇だからぶらぶらしてたんだよ」
「ふーん、じゃあ一緒に帰ろうか」
行っちゃうんですか。帰っちゃうんですか。
放心のあまり真っ白な僕をおいて、二人仲良く去っていくんですか。
その夜、泣きながら額を洗うロシウの姿を見た人がいたとかいないとか。
期間限定グレンラガンのカミシモ(シモン総受が信条)テキスト垂れ流しブログです。
鉄は熱い内に打て!
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