シティを見下ろす屋上に、一つの影がある。白い上着をなびかせながら、手すりにもたれてぼんやりと街を眺めている風情だ。さらさらと風が一筋の前髪を揺らしている。
その背後から、静かな足音。
「珍しいわね、ロシウ。休憩中?」
「リーロンさん?・・・まあ、そんなところです」
「あなたがこんな風に日中に休むなんて、世の中平和になったものね」
「ははは」
「おいお前らぁ!いつまでも脱線してんじゃねぇ!」
さすがに見かねたのだろう、キタンさんが一喝を落とした。さすが法務局長。もっとも言われたみなさんは、はいはい、という感じで聞き流しているようだが。それでもニヤニヤしながら彼の周りに集結した。
殺風景な格納庫の真ん中に、ずらりと並ぶ大グレン団ガンメン乗り。この戦いのために新調された、制定のパイロットスーツの星がまぶしい。
A hero is no braver than an ordinary man,
but he is braver five minutes longer.
Ralph Waldo Emerson
僕らの行く場所を僕らは知らない。説明を受けてはいたけれど、たぶん誰も良くわかっていなかったと思う。『十次元と十一次元の狭間』なんて、聞いたこともない。それを伝えてくれたギミー隊長もダリーさんも、自分たちもわからないし、わからなくても良いんだと笑って言った。わからなくても、僕らのやることは変わらないのだから、と。
僕ら、スペースグラパール隊の義務はたったひとつ。地球を、人類を脅かす脅威の排除。
「どうせ上から降ってくるなら、素敵なレディに降ってきて欲しかったよ」
ほら。来た来たアイラック節。二言目には必ずこれだ。レディがどうの美女がどうのと。年がら年中、女を追っかけ回している。というか、女と見れば手当たり次第に声をかける癖があるのだ、こいつは。
『地走り』になりたい。
それはコイーガに住む男だったら、一度は子供の頃に持つ夢。
俺もご多分に漏れずその一人だった。
※艦長は宇宙に出てから螺旋力で不老不死。
<王様の台詞で5題>配布元COUNT TEN.チハルさま
1.「お前は私に逆らうべきではない」
ぷつん、と意識が戻った。
目を開けば、見慣れた景色。溶液を透かし、ガラス筒の凹面越しに歪む計器の光。巨大な螺旋エンジンの回転。
眠っていたのとは違うはずなのだが、欠伸が漏れる。ぼこり、と大きな泡が昇り、それを追いかけて小さなアブクが絡まりながら昇っていく。
生体コンピュータと呼ばれる私は、眠る事はない。かわりに電源を落とされれば意識は途切れる。それは毎度定められている死のようだ。それなのに、電源を入れられるたびに欠伸がでるのはどういうことなのだろう。生体の無意味な反射、という事なのだろうか。体を無くして200年ほどになるが、未だに不思議でならない。
<どんな服でも着る人は居る>~アラブの諺
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<大アンケート!新デザインのコスチュームについてどう思われますか?>
<どんな服でも着る人は居る>~アラブの諺
「・・・シモン、私にこれを見せてどうしろっていうの」
怒気をはらんだ声が、静かに、それはもう地を這うように、口から流れ出た。
執務室は、ムガンの攻撃で焼けてしまった。無事に残った一部屋で、急遽つくられた総司令室。呼び出された先で見せられたものは、ええと、なんというか。
「え?だから、これヨーコに着てもらう新しい戦闘服」
10.
「今日、みんなに集まってもらったのは、以前から上がっていた議題の件だ」
会議室の上座に座るのはシモン。その脇に、当然のようにロシウは立つ。艦長補佐という役割を果たすため。
主立った人々への根回しは済んでいる。リーロンに全てを頼んであった。あの後、シモンの私室から下がってその事を伝えに行くと、何もかもわかっていたというように、彼は二つ返事でその面倒な仕事を引き受けてくれた。古参の団員は大丈夫だと思うから、そう面倒でもないわよ、と言ってくれたけれど。
今日は補佐官としての披露目と、そして大きな初仕事。これからシモンは、大グレン団とそこに集まってきた人々全ての夢を引き受けるための第一歩を進める。
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期間限定グレンラガンのカミシモ(シモン総受が信条)テキスト垂れ流しブログです。
鉄は熱い内に打て!
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